寿し芳が世界を唸らせる理由|二つ星の独創性と予約の極意に迫る
寿し芳が提供するのは、一般的な鮨屋のような「お好み」ではなく、すべて大将の美学が凝縮された「おまかせコース」一本のみです。運ばれてくる皿は、キャビア、トリュフ、フォアグラといった高級食材を惜しみなく使い、時に液体窒素や自家製の複雑な発酵ソースを用いた、驚きに満ちた構成となっています。
例えば、甘海老の殻から抽出した濃厚なビスクをジュレにして握りに重ねるアプローチや、魚熟成の極限を見極めてハーブの芳香を忍ばせる仕掛けなど、一貫ごとに知的な驚きが仕掛けられています。それゆえ、ディナーの予算感も一般的な高級鮨店とは一線を画す水準に設定されています。
会計時の金額だけを切り取れば確かに高額ですが、提供される食材のクオリティ、綿密に計算された仕込みの工数、そして世界レベルのプレゼンテーションを鑑みれば、純粋なコストパフォーマンスは決して低くありません。日常の食事ではなく、「特別な舞台を鑑賞するための入場料」として受け止められているのが実情です。