歯医者の麻酔で動悸や手の震え?心臓がバクバクする原因と正しい対処法

歯医者の麻酔で動悸や手の震え?心臓がバクバクする原因と正しい対処法について見逃せない 理由を厳選して解説いたします。

歯医者の麻酔で動悸や手の震えが起きて不安になった経験はありませんか?一体なぜ心臓がバクバクするのか、その核心は麻酔薬に含まれる成分の働きにあります。歯科の虫歯治療や抜歯で最も広く用いられている局所麻酔薬は、リドカイン塩酸塩(商品名:キシロカイン)です。そして、このキシロカインには8万分の1〜10万分の1の濃度でアドレナリン(エピネフリン)という血管収縮薬が添加されています。歯科麻酔におけるアドレナリンによる動悸の原因は、まさにこの薬理学的な作用機序に起因しています。

口腔内の粘膜組織には無数の毛細血管が張り巡らされています。もし麻酔薬の原液だけを注入すると、血流によって薬液が急速に全身へ拡散してしまい、肝心の歯の神経に対する鎮痛効果がわずか十数分で切れてしまいます。さらに出血量が増大し、治療部位の視野も著しく悪化します。そこで、歯科局所麻酔における血管収縮薬の働きによって注射箇所の毛細血管を一時的にキュッと収縮させ、麻酔成分を局所にとどめて効き目を1〜2時間持続させるとともに、出血を抑える医学的工夫が施されています。

しかし、注射時の針先が細い血管に触れたり、粘膜からの吸収が急激に進んだりすると、添加された微量のアドレナリンが血流に乗って全身を巡ります。アドレナリンは交感神経を刺激するホルモンそのものであるため、心臓の受容体に届くやいなや心拍数を押し上げ、血圧を一時的に上昇させます。これが、キシロカインの副作用として知られる動悸の直接的なトリガーです。手指の微細な筋肉にも交感神経興奮の刺激が伝達されるため、指先がカタカタと震える症状が併発します。

さらに見逃せないのが、患者自身の脳が作り出す「心理的アドレナリン」との相乗効果です。「痛いかもしれない」「注射針が怖い」という強いストレスや恐怖に直面すると、人間の副腎髄質からは自前のノルアドレナリンやアドレナリンが大量に分泌されます。薬液由来の微量なアドレナリンに体内自作のアドレナリンが重なることで、心臓のバクバク感は一気にピークに達します。

清水 千尋

清水 千尋

フード&トラベルライター

マーケティングと消費者心理のトレンドを分析し、現代のヒット商品の背景を読み解きます。