四分の三拍子の数え方と6/8拍子との違い|有名曲や演奏の極意を解説
四分の三拍子の楽曲は、時代やジャンルを超えて多くの名作を生み出してきました。その豊かな表情を有名曲から紐解いてみましょう。
伝統を彩るクラシックのワルツ名曲
「四分の三拍子=ワルツ」という公式が定着した背景には、19世紀のウィーンで花開いた舞踏会文化があります。クラシックのワルツ名曲の筆頭といえば、ヨハン・シュトラウス2世の『美しく青きドナウ』です。この曲では、第1拍を踏み込んだあと、第2拍がわずかに早く入り、第3拍へ滑らかに受け渡されるという「ウィーン風ワルツ」の独特なタメが用いられます。
ピアノ曲では、フレデリック・ショパンの『小犬のワルツ(作品64-1)』や『華麗なる大円舞曲』が広く親しまれています。ショパンのワルツは単なる踊りの伴奏ではなく、サロンの高貴な憂いと技巧的なパッセージが3拍子の枠組みの中で極限まで洗練された芸術作品です。また、チャイコフスキーのバレエ音楽『くるみ割り人形』より「花のワルツ」は、管弦楽の色彩豊かな響きで3拍子の優美さを最大限に引き出しています。
感情を増幅させる四分の三拍子のJ-POP曲
現代のポップスシーンにおいて、偶数拍が支配的なダンスミュージックとは一線を画し、心象風景を繊細に描写するために3拍子が効果的に用いられます。
例えば、四分の三拍子のJ-POP曲として名高い一青窈の『ハナミズキ』は、ゆったりとした3拍子の呼吸が詞の持つ祈りや温もりを優しく包み込みます。また、アンジェラ・アキの『手紙 〜拝啓 十五の君へ〜』のAメロや、スピッツ、宇多田ヒカル、椎名林檎らの楽曲群でも、3拍子の持つノスタルジーや浮遊感が劇的な効果を生んでいます。
アニメソングや劇伴音楽でも3拍子は多用されており、どこか異国情緒やファンタジーの世界観、あるいは切迫した感情の高まりを演出する手法として定着しています。