マッサン主題歌「麦の唄」誕生秘話と歌詞の意味を徹底解剖
連続テレビ小説の第91作として制作された『マッサン』は、ニッカウヰスキーの創業者である竹鶴政孝とそのスコットランド人妻・リタをモデルにした本格的な人間ドラマです。文化も言葉も異なる大正・昭和初期の日本で、偏見や幾多の試練にさらされながらも夢を追い続けた夫婦の姿を描くにあたり、番組制作陣が直面した最大の課題が「主題歌の選定」でした。
チーフプロデューサー(CP)をはじめとする制作陣が熱望したのは、「故郷を遠く離れたスコットランドから日本の片田舎へ嫁いできたエリーへの、無償の愛と励ましを歌える存在」でした。そこで白羽の矢が立ったのが、人間の孤独や生の根源を力強い詩で描き続けてきたシンガーソングライター・中島みゆきです。
当時の特番インタビューや公式資料によると、主題歌のオファーを受けた中島みゆきは、まず驚きの声を上げました。「本当に私でいいんですか? 朝っぱらから中島みゆきのドロドロした歌が流れて、視聴率が下がっても知りませんよ」と冗談めかして返答したという逸話は、ファンの間でも語り草となっています。
しかし、ドラマのプロットと「異国の地で孤軍奮闘する女性を励ましたい」という制作陣の熱意に深く共鳴した中島みゆきは、スコットランドの雄大な自然と日本の風土を繋ぐモチーフとして、ウイスキーの主原料である「大麦」に着目。スコットランドの伝統楽器であるバグパイプの荘厳な響きを取り入れ、朝の活力となる力強いアンセム「麦の唄」を紡ぎ出しました。