山本五十六の戦死と海軍甲事件の真相|暗号解読と撃墜の謎を追う
連合艦隊司令長官・山本五十六がなぜ最前線で命を落とすことになったのか。その最大の要因は、日本軍が絶対の自信を抱いていた海軍暗号の漏洩にありました。
事の発端は、1943年4月13日に発信された暗号電報です。前線部隊の士気を鼓舞するため、山本長官自らがショートランド方面を視察するという詳細な旅程が、第八艦隊司令部宛てに打電されました。そこには、発着時刻、搭乗機(一式陸上攻撃機2機)、護衛機(零式艦上戦闘機6機)に至るまで、極めて正確なスケジュールが明記されていたのです。
しかし、この電文は米海軍の無線傍受部隊(FRUPACなど)によって速やかに傍受・解読されていました。真珠湾攻撃の最高責任者である山本の動向を知った米海軍首脳部は、これを絶好の標的と認識します。米太平洋艦隊司令長官チェスター・ニミッツは、フランク・ノックス海軍長官を通じてフランクリン・ルーズベルト大統領の了解を取り付け、山本機を空中で狙撃・撃墜する極秘任務を発令しました。作戦名は「ヴェンジェンス作戦(Operation Vengeance:復讐作戦)」。国家の威信を懸けた暗殺計画が、水面下で動き出した瞬間でした。