熊の襲撃現場で何が起きたのか?遺体の謎と専門家が語る生存戦略
事件現場の最前線で対応にあたる北海道警察の山岳救助隊や地域警察官は、かつてないプレッシャーに晒されている。出没通報を受けて現場へ急行しても、密林の中での捜索は二次被害の危険と背中合わせだ。視界が数メートル遮られる笹藪の中で、いつ襲撃されるかわからない恐怖と戦いながら、遺体の収容と状況把握を進めなければならない。
一方、環境省が公表した最新の生息状況調査と被害統計によれば、クマの生息域は人里へ向かって急激に拡大している。中山間地域における少子高齢化と耕作放棄地の増加により、人と野生動物を隔てていた「里山」という緩衝帯が消滅しつつあるのだ。かつて行政が描いていた野生動物管理の枠組みは、生息数の増加と行動域の変容によって事実上の限界を迎えている。現場の捜査員と自治体担当者の間には、防犯と保護の狭間で深まる葛藤が存在する。