なぜ福岡の醤油は甘いのか?老舗蔵元が明かす秘密と至高の銘柄
福岡の醤油文化は、今なお進化を止めていない。県内には数多くの蔵元が存在し、それぞれが独自のこだわりで個性を競い合っている。地元で愛され続ける銘柄から、全国区へと躍進を遂げたブランドまで、注目の蔵元を取材した。
まず挙げられるのが、出汁文化のイノベーターとして知られる「株式会社久原本家グループ本社」だ。明治26年創業の久原醤油をルーツに持ち、伝統の製法を守りつつも現代の多様な食卓に合わせた商品開発で全国的なヒットを飛ばしている。あごだしを用いた醤油や専用調味料は、福岡の味覚を全国へ広める大きな原動力となった。
一方で、地域に根差した伝統の味を守り抜く老舗もある。筑豊エリアで長年親しまれてきた「ヤマタカ醤油株式会社」は、昔ながらの深い旨味とコクを持つ甘口醤油で根強いファンを持つ。煮物に使用すれば、これ一本でプロの料亭のような深みが出ると地元主婦層からの信頼も厚い。
さらに近年、注目を集めているのが糸島市を中心とした「糸島地方醸造伝統プロジェクト」の取り組みだ。豊かな自然と食の宝庫である糸島産の原料にこだわり、木桶を使った伝統的な製法を復元・継承する試みが進んでいる。若手醸造家たちが手掛ける新しい波は、伝統文化に新たな息吹を吹き込んでいる。