古川周賢の足跡|東大哲学博士から恵林寺住職へ、禅と現代リーダーシップの融合
2011年、修行を終えた古川氏は山梨県甲州市にある乾徳山恵林寺の副住職に着任し、2014年に第142世住職へと就任した。恵林寺は元徳2年(1330年)、夢窓疎石によって開創された名刹であり、戦国時代の名将・武田信玄公が自らの菩提寺として定めたことで広く知られる。
織田信長による焼き討ちに遭った際、快川紹喜(かいせんじょうき)国師が遺した「安禅必ずしも山水を用いず、心頭を滅却すれば火も自ずから涼し」という辞世の句は、日本史上に燦然と輝く禅の気魄を示すものである。古川氏は、この壮大な歴史と精神的遺産を背負う立場となった。
歴史と文化の交差点としての寺院運営
恵林寺の住職として、古川氏は単に伝統的な法要を営むだけには留まらない。境内の庭園や文化財の保全に心を配りつつ、地域社会との結びつきを深め、さらには全国から訪れる参拝者に向けて「現代に活きる禅の精神」を説き続けている。武田信玄公の命日に行われる信玄公講の継承や、静寂な境内での坐禅会の開催など、伝統を守りながらも時代に必要な息吹を吹き込む取り組みは高い評価を得ている。