元大関琴風の名曲『まわり道』大ヒットの真相と尾車親方の今
『まわり道』の歌詞がこれほどまでに人々の涙を誘った背景には、琴風の壮絶な相撲人生がありました。三重県津市に生まれた琴風は、名門・佐渡ヶ嶽部屋に入門。得意のがぶり寄りと強烈な押しを武器にスピード出世を果たし、将来の横綱候補として嘱望されていました。
しかし、1979年初場所で右膝に選手生命を脅かす大怪我を負います。当時の医療技術では現役復帰すら危ぶまれる重傷で、関取の座から一気に幕下上位まで転落。一時は引退も頭をよぎるほどの絶望を味わいました。それでも琴風は諦めることなく、過酷なリハビリと稽古に耐え抜き、奇跡の再起を果たします。
再入幕を果たした琴風は、1981年秋場所で12勝3敗の成績を挙げ幕内初優勝を達成。直後に大関昇進を射止めました。さらに1983年春場所でも14勝1敗で2度目の幕内最高優勝を果たすなど、大関通算成績21場所で優勝2回、大関在位中の高い勝率を記録。怪我という「まわり道」を経験したからこそ辿り着いた栄光であり、その生き様が歌の説得力を何倍にも高めたのです。