名古屋市西区主婦殺害事件の真相と犯人像|未解決の謎を追う
この事件を語る上で欠かせないのが、奈美子さんの夫である高羽悟さんの存在です。悟さんは事件発生から四半世紀以上が経過した現在も、奈美子さんが命を奪われたアパートの部屋を解約せず、毎月家賃を支払い続けて現場を当時の状態のまま維持しています。
テレビ特番のインタビューや自著・手記において、悟さんは「現場をそのまま残す理由」について次のように語っています。
「部屋を引き払ってしまえば、妻が無念の死を遂げた証拠も、犯人が残した気配もすべて消えてしまう。いつか犯人が捕まったとき、ここへ連れてきて妻と向き合わせなければならない。風化させないための自分の戦いです」
室内のカレンダーは1999年11月のまま止まり、奈美子さんが息を引き取った場所には今も手を合わせる祭壇が設けられています。悟さんは毎年命日や事件の節目に街頭へ立ち、手作りのチラシを配りながら情報提供を呼びかけ続けてきました。時効撤廃(2010年の刑事訴訟法改正)が実現した際も、悟さんら遺族会「宙の会(そらのかい)」の粘り強い活動が法改正の大きな原動力となりました。