日の丸だけじゃない?日本の昔の国旗が語る幕末維新の知られざる真実

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日本に「唯一の国旗」という概念が持ち込まれたのは、19世紀半ばのことだ。それ以前の日本には、国民全員を代表する単一の旗章など存在しなかった。海を航行する船に掲げられていたのは、江戸幕府の象徴である「白地に黒の一文字(中黒)」や、各藩が独自に定めた船印である。大名ごとに意匠が異なり、統一された国家標識とは到底呼べない代物だった。

転換点は安政元年(1854年)、幕府が日本船の共通識別標識として「日章旗」を定めたことにある。しかし、これで一件落着とはならなかった。幕府海軍の軍艦には幕府の旗が併用され、討幕派の諸藩もまた自藩の旗を掲げて戦った。国旗としての決定的な法的位置づけが与えられたのは、明治維新後の明治3年(1870年)に発布された太政官布告第57号「商船規則」である。ここで初めて、規格や比率が定められた日章旗が「日本の惣船印(国旗)」として法制化された。日の丸の定着は、決して自明の伝統ではなく、近代化という荒波を乗り越えるための政治的決断の産物だったのである。

鈴木 陽菜

鈴木 陽菜

テックライター兼ウェブディレクター

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