硝子に宿る静謐な光と影。硝子作家・津田清和の造形美学と技法の核心
津田清和の造形を語るうえで欠かせないのが、吹きガラス技法と型鋳造(キャスト)の卓越したコントロールだ。
一般的な吹きガラス作品が均一な肉厚を目指すのに対し、津田の作品はあえて力強い肉厚を持たせる。ガラスの壁面をあつめに仕上げることで、内部に入り込んだ光が屈折し、複雑な陰影を形成する。器の底部分に溜まるガラスの分厚さは、まるで凍りついた清流の底を覗き込んでいるかのような錯覚を生む。
流動性と固定化の絶妙なバランス
吹き竿の先で揺れるガラスは、一瞬の油断でその姿を崩す。津田は重力を巧みに利用しながら、完全に制御しきらない余白を残す。輪郭にわずかなゆらぎや有機的な歪みが生じるのはそのためだ。幾何学的な完璧さではなく、自然物のような揺らぎが作品に宿る。
カットと削りによる触感の創出
吹いたあとのガラスに対する二次加工も精密を極める。縁を削り出し、表面に磨きをかけ、あるいは意図的に粗い質感を残す。視覚だけでなく、手に触れたときの触感にまで意識が行き届いている。