御殿場の森に息づく限定どら焼き!とらや工房の美学と散策の極意
この地にとらや工房が誕生した背景には、株式会社虎屋の第十七代当主・黒川光博氏の強い信念があった。室町時代後期に京都で創業し、宮中御用を勤めてきた名門が、なぜ御殿場の森の中に工房を設けたのか。その根底にあったのは、「和菓子の原点に立ち返る」という哲学だ。
近年の和菓子製造小売業が高度にシステム化されるなかで、黒川氏は「作りたての菓子を、その場でお茶とともに味わう歓び」を再定義しようと試みた。厳選された原料を用い、職人が目の前で餡を練り、皮を焼く。飾り立てない素朴さの中に本物の技を宿らせるこの試みは、老舗の伝統に甘んじることなく、常に菓子の本質を問い続ける虎屋の真骨頂といえる。