歌舞伎界の常識を覆す男・中村橋之助の挑戦 伝統の重圧を突き破る「30歳の覚悟」と2026年の新境地
20代の威勢の良さや勢いだけに頼る時期は過ぎ去った。今の彼から漂うのは、長年の修練に裏打ちされた芯の強さと、役の深層にまで深く潜り込むような観察眼だ。時代物の重厚な役どころから世話物のリアルな人間模様まで、手掛ける役柄の幅は加速度的に広がっている。
舞台上での佇まいには、役者としての骨格がガッチリと固まってきた安心感がある。かと言って、小さくまとまる気配は一切ない。むしろ攻めの姿勢は増すばかりで、セリフひとつ、立ち姿ひとつに、劇場全体を支配する圧倒的なエネルギーが宿っている。