ロコ・ソラーレ「そだねー」誕生秘話とミラノへ繋ぐ氷上の軌跡
「そだねー」は、意図して作られたスローガンでは毛頭ない。発祥の地は、オホーツク海に面した厳寒の町、北海道北見市常呂町。氷点下の風が吹き荒れるこの町で、住民たちが何気なく交わしてきた日常の方言だ。相手の意見を丸ごと受け止め、肯定から会話を始める柔らかな響き。それが、世界最高峰の戦場で驚異的な威力を発揮した。
試合中、スキップの藤澤五月が投球ラインを巡って思案する。「ここ、少し曲がるかな?」。するとサードの吉田知那美が即座に応じる。「そだねー」。このわずか数音のレスポンスが、張り詰めたアイス上の緊張をすっと解きほぐす。否定から入らない。相手の直感をまず肯定し、その上で最善策をすり合わせる。この無意識の対話システムこそが、秒単位の判断を求められるカーリングにおいて、ミスを引きずらない鉄壁の心理的セーフティネットとなったのだ。