罪を消し去る国家の特権、恩赦の知られざる選定基準と現代の是非
日本における恩赦の根拠は、日本国憲法第73条に明記されている。内閣の職務の一つとして「恩赦を決定すること」が規定され、その認証は天皇の国事行為として執行される仕組みだ。具体的な種別や要件については恩赦法に委ねられており、政令によって一括して対象を定める「政令恩赦」と、個別の申請に基づいて審査を行う「個別恩赦」の二層構造が採られている。
形式上は内閣が決定権を握るものの、実務の中枢を担うのは法務省だ。三権分立の厳格な維持が求められる現代において、行政府が裁判所の判断を覆す行為には常に慎重な抑制が働く。単なる情状酌量にとどまらず、法制度の硬直化を是正するための政治的知恵として位置づけられてきた歴史的経緯がある。