大相撲の大銀杏に隠された真実|関取の特権と床山の神技を徹底解剖

大相撲の大銀杏に隠された真実|関取の特権と床山の神技を徹底解剖に関する主要なデータを分かりやすく解説いたします。

大銀杏の造形美を語る上で欠かせないのが、日本相撲協会に所属する専属の技術職「床山(とこやま)」の存在です。床山も力士と同様に相撲部屋に所属し、特等床山から五等床山までの階級制度のもとで腕を磨き続けています。

本場所中、支度部屋で床山が力士の後ろに立ち、大銀杏を結い上げる時間はわずか10分から15分程度。手入れされた何種類もの特製櫛(梳き櫛、荒櫛、前髪揃えなど)を素早く持ち替え、鬢付け油を均等になじませていきます。そして「髷棒」と呼ばれるへら状の道具を器用に使って先端を扇状に開き、麻や和紙でできた元結を歯で噛んで固定しながら、全身の体重をかけて一気に締め上げます。

この工程における力加減はまさに職人技です。締め付けが弱ければ土俵上で頭から落ちた際に髷が崩れて髷掴みの反則リスクや視界不良を招き、逆に強すぎれば頭皮が引っ張られて頭痛を引き起こし、力士の集中力を奪ってしまいます。「痛くなく、絶対に崩れず、どの角度から見ても完璧な円弧を描く」大銀杏を結えるようになるまでには、最低でも10年以上の修行が必要とされています。

支度部屋で交わされる力士と床山の呼吸は、単なる美容師と客の関係を超えています。土俵に向かう前の張り詰めた緊張感の中で、床山の手先から伝わるリズムが力士の昂りを鎮め、闘志を整えるメンタルコントロールの役割も果たしているのです。

伊藤 翔太

伊藤 翔太

フード&トラベルライター

マネー知識やキャリア形成に役立つノウハウを、初心者にも分かりやすく解説するのが得意です。