ラグーソースとは?ボロネーゼとの違いと本場イタリアの真実を徹底解明
「ラグー(ragù)」という言葉のルーツをたどると、その源流泉は隣国フランスの「ラトゥ(ragoût)」に行き着きます。語源となった動詞「ragoûter(食欲を呼び覚ます、元気づける)」の通り、本来は肉や魚、野菜を細かく刻み、出汁とともに弱火でコトコトと煮込んだ滋養に富む煮込み料理全般を指す言葉でした。
この調理法がイタリア半島に持ち込まれたのは18世紀末、ナポレオン軍の侵攻期と重なります。宮廷料理人たちを通じて北イタリアのエミリア=ロマーニャ州や南部のカンパニア州へと伝播し、各地域の気候風土や手に入る食材と融合することで、独自のイタリア郷土料理の煮込み肉文化として花開きました。
イタリアにおけるラグーの歴史的特異性は、「ソース単体ではなく、メインディッシュ(セコンド・ピアット)の副産物として始まった」点にあります。もともとは塊肉を香味野菜とともにじっくり煮込み、肉自体は主菜として食卓に出し、肉汁と旨味が凝縮した煮汁をパスタ(プリモ・ピアット)に絡めて提供していました。1891年に近代イタリア料理の父と呼ばれるペッレグリーノ・アルトゥージが著した名著『料理の科学と美味しい食事の技法』にも、肉の旨味を凝縮させた初期のラグーの姿が詳細に記されています。