魂を削るハスキーボイスは消えない――没後2年、門倉有希がいま再評価される「ノラ」と情念の歌謡史
音楽ストリーミングサービスのチャートを見渡すと、思わぬ現象が起きている。1998年にリリースされた代表曲『ノラ』が、20代を中心とする若い世代の間で再生回数を急上昇させているのだ。
整音技術やオートチューンで綺麗に整えられたデジタルサウンドに慣れ親しんだ世代にとって、彼女の掠れた声と息遣いが剥き出しになった録音は、新鮮な衝撃として受け止められた。「綺麗に歌おうとしていない」「心の痛みがダイレクトに伝わってくる」といったコメントがSNSに溢れ、曲に合わせて自らの孤独や失恋を吐露するショート動画が次々と投稿されている。28年の時を経て、昭和・平成の哀歌が最先端のプラットフォームで「エモーショナルなアンセム」として再定義された格好だ。