【現地ルポ】創業263年の老舗が起こす食卓革命:「ヒシミツ醤油」の甘口醤油と熱狂の「ご飯行列」を追いかけて
歴史の糸は、一度途切れていた。宝暦13年、英彦山の豊かな伏流水に恵まれた添田の地で創業したヒシミツ醤油。かつては地域の人々の食卓を支え続けた老舗蔵だったが、昭和の後期、大手メーカーの台頭や過疎化の波に抗えず、やむなく暖簾を下ろす決断を下した。
転機が訪れたのは平成の終わりだ。地域の歴史遺産を再発見し、本物の発酵文化を未来へ紡ごうとする有志たちの情熱が、眠っていた醸造レシピと「ヒシミツ」の名を呼び覚ました。単なる復刻にとどまらず、現代のライフスタイルに合わせたパッケージデザインや飲食体験の構築に注力したことが、劇的なV字回復への足がかりとなった。