本場ニース風サラダの伝統と真相|具材のタブーとプロの黄金比レシピ
ニース風サラダの歴史は19世紀以前にまで遡ります。当時のニースは現在のような国際的リゾート地ではなく、貧しい農民と漁師が暮らす素朴な港町でした。彼らが朝の畑で収穫したトマトやタマネギをちぎり、手に入りやすい安価な塩漬けアンチョビとともに硬くなったパン(パン・バーニャの原型)やボウルに乗せ、わずかなオリーブオイルと塩で和えて食べたのが始まりとされています。
当時、ツナ(マグロ)は非常に高価な高級食材でした。そのため、日常的には自家製の塩漬けアンチョビが使われ、ツナ缶を用いるのは特別な祝祭日や富裕層に限られていた歴史があります。現代の伝統派シェフたちが「アンチョビとツナを両方同時に使うのは過剰であり、どちらか一系統に絞るべき」と主張するのは、この食材の階層性と味わいの調和に由来しています。
20世紀に入ると、「近代フランス料理の父」と呼ばれるオーギュスト・エスコフィエをはじめとするグランシェフたちがコート・ダジュールのリゾートホテルでこの料理を洗練させ、世界中のセレブリティに提供しました。その過程で世界各地の嗜好に合わせてアレンジが施され、今日知られる多様なバリエーションへと派生していったのです。