殺人犯の深層心理と凶行の真相|共通する行動パターンと最新司法判断

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凶悪事件の公判において、弁護側が刑法第39条に基づき「心神喪失による無罪」または「心神耗弱による減刑」を主張する場面は頻繁に見られます。これに対して被害者遺族や社会からは「責任逃れではないか」という強い反発の声が上がることが少なくありません。しかし、刑事裁判における判決基準は、精神医学の診断名をそのまま鵜呑みにする段階をとっくに脱しています。

最新の司法判断において確立されているのは、「精神医学的見地」と「規範的評価(裁判所の法的判断)」を峻別するアプローチです。たとえ被告人に統合失調症や妄想性障害などの精神疾患が認められたとしても、それだけで直ちに責任能力が否定されるわけではありません。最高裁判所の判例体系でも示されている通り、裁判所は以下の要素を総合的に考慮して殺人罪の法的責任を決定します。

第一に、犯行に至る動機の形成過程において精神障害がどの程度影響を与えていたか。第二に、犯行の手口が合理的かつ計画的であったか。第三に、犯行直後に証拠隠滅を図ったり、警察の追及から逃走しようとしたりする「自己防衛的な合目的行動」が取れていたかです。凶器を事前に隠し持ち、人目につかない時間帯を選んで急所を狙い、逃走資金を確保しているような場合、精神疾患が存在したとしても「善悪を弁別し、自らの行動を制御する能力(完全責任能力)」が肯定される傾向が強まっています。

また、量刑の最高峰である死刑適用については、1983年の最高裁第2小法廷判決で示されたいわゆる「永山基準」が現在も基軸です。被害者数(原則として複数)、犯行の態様、動機、遺族の処罰感情、社会的影響などを9項目にわたって綿密に照合し、慎重の上にも慎重を期した審理が積み重ねられています。

阿部 裕樹

阿部 裕樹

エンタメ専門ジャーナリスト

マネー知識やキャリア形成に役立つノウハウを、初心者にも分かりやすく解説するのが得意です。