拒食症で死亡した芸能人の真相|過酷な闘病と激やせの裏にある真実
「食べないだけで人は死ぬのか」という無理解な声が世間には散見されますが、医学統計が示す現実は冷酷です。拒食症(神経性無食欲症)の死亡率は精神疾患の中で群を抜いて高く、一般人口と比較した標準化死亡比(SMR)は約5〜6倍に達すると各種精神医学調査で指摘されています。極度の低栄養状態が身体に及ぼす影響は、単なる体重減少の域を遥かに超えているのです。
もっとも頻度の高い直接の死因は、電解質異常(低カリウム血症など)が引き起こす致死的不整脈および心不全です。飢餓状態が長期間続くと、体内では生命維持のために自己の筋肉組織を分解してエネルギーを補おうとします。このとき、心臓の筋肉(心筋)までもが削られ、心臓のポンプ機能そのものが物理的に萎縮・衰弱していきます。カレン・カーペンターが息を引き取った際も、心電図の波形が突如乱れ、心停止に至った経緯が記録されています。
さらに治療現場で恐れられているのがリフィーディング症候群(再栄養症候群)です。長期間の飢餓状態にある患者に対し、急速に高カロリーの栄養投与を行うと、糖代謝の急変に伴ってリンやカリウムが細胞内に過剰に取り込まれ、血液中のミネラルバランスが一気に崩壊します。その結果、呼吸困難や致死性不整脈、急性心不全を引き起こすのです。「食べさせれば治る」という単純な介入が、かえって患者の命を奪うトリガーになり得る点が、この疾患の治療難易度を極端に押し上げています。