『Tokyo Vice』のモデル、後藤忠政の現在と裏社会の闇
2010年、突如として出版された自叙伝『憚りながら』は、出版界に空前絶後の衝撃をもたらした。累計数十万部を売り上げたこの告白本の中で、彼はこれまでタブー視されてきた政界要人との黒い交際、大手銀行やゼネコンを巻き込んだバブル期の地上げ工作、さらには巨大宗教団体との裏取引の実態を赤裸々に暴露したのである。
「墓場まで持っていく」はずだった裏社会の密約を公にした代償は大きかった。組織の掟を破る禁断の告白は、山口組執行部との決定的な決裂を生み、結果として後藤組の電撃的な解散と本人の除籍・引退へとつながっていく。沈黙の掟が支配する世界において、実名で放たれたその肉声は、戦後裏面史の第一級資料として今なお異彩を放っている。