血圧の差が大きいのは危険?脈圧と左右差が開く原因と受診目安
脈圧の正常値と計算方法は極めてシンプルです。計算式は「収縮期血圧(上)− 拡張期血圧(下)」で求められ、健康な成人の基準値は40〜60mmHgの範囲と定義されています。例えば、測定結果が「上125/下75」であれば脈圧は50mmHgとなり、正常域と判断できます。
問題となるのは、この脈圧が60mmHgを超えて70、80と拡大していくケースです。脈圧60以上の危険性については、国内外の大規模疫学研究でも明確なエビデンスが蓄積されており、脈圧が10mmHg広がるごとに心筋梗塞や脳卒中による死亡リスクが有意に上昇することが報告されています。
特に高齢者の血圧差が大きい原因として頻度が高いのが、加齢と生活習慣病の蓄積による中枢動脈(太い大動脈)の石灰化・硬化です。若年期に見られる高血圧は末梢血管の抵抗が高まることで「上も下も高い」状態になりやすいのに対し、60代以降では大動脈そのもののクッション性が衰える「収縮期単独高血圧」が急増します。
さらに見過ごせない疾患由来の原因として挙げられるのが、大動脈弁閉鎖不全症です。心臓の左心室と大動脈を隔てる弁が完全に閉じなくなることで、一度送り出された血液の一部が心臓へ逆流し、心臓拡張期の動脈圧が異常なレベルまで低下します。その結果、「上は160mmHgあるのに下は40mmHg前後まで落ち込む」といった極端な乖離現象が引き起こされます。