2026年、なぜ私たちは「昭和の竜宮城」へ還るのか——目黒雅叙園が放つ異形の美と、100年目の覚悟
単なる保存では、建築は死ぬ。ガラスケースに閉じ込められた骨董品にしてはならないという思想が、この場所には脈打っている。
創業者の細川力蔵が目指したのは、富裕層の密室ではなく「市井の人々が気軽に本物の美術に触れられる大衆の料亭」だった。その初心は2026年の今も変わらない。東京都指定有形文化財「百段階段」を舞台にした企画展に足を運べば、数百年前の襖絵のすぐ隣で、新進気鋭の現代華道家やデジタルアーティストが火花を散らしている。静態保存という名の思考停止を拒み、常に摩擦と更新を恐れない姿勢こそが、この館の生命線だ。