住田紘一死刑囚の動機と生い立ち|被害者1人で死刑執行に至った真実
一審判決後、弁護側は量刑不当を理由に即日控訴の手続きを取りました。過去の法例に照らせば、控訴審(広島高裁岡山支部)において「被害者1人であること」を理由に無期懲役へ減軽される可能性も法曹関係者の間では指摘されていました。しかし、そのわずか1か月後となる2013年3月、住田自身が弁護人の頭越しに自ら控訴を取り下げ、死刑判決が正式に確定しました。
なぜ自ら死刑確定を選んだのか。公判や拘置所内での面会記録によると、控訴取り下げ理由として住田は「裁判員の方々が出した結論を重く受け止めたい」「生きて償う道はない、命をもって責任を取るべきだと思った」という趣旨の発言を残しています。しかし、その一方で精神的に追いつめられ、法廷で厳しい審理を受け続ける重圧に耐えかねた「自暴自棄の逃避」ではなかったかという専門家の指摘も根強く存在します。
一方、最愛の娘を理不尽に奪われた被害者遺族の反応とコメントは、痛切を極めました。公判中、遺族は「極刑以外に納得できる処分はない」「どんな判決が出ようと、娘が戻ってくることはない」と涙ながらに訴え続けました。控訴取り下げによって死刑が確定した際にも、安堵ではなく「当たり前の結果だが、苦しみは一生終わらない」という深い哀傷のコメントが出されており、残された家族の心の傷の深さを物語っています。