タイヤ側面のひび割れ放置は危険?車検の合否ラインと交換基準の真実

タイヤ側面のひび割れ放置は危険?車検の合否ラインと交換基準の真実の真相や最新動向に迫る! 専門的な視点でご紹介しています。

タイヤ側面に発生するひび割れの正体は、専門用語で「オゾンクラック」と呼ばれます。大気中に微量に含まれるオゾンが、走行時の遠心力や屈曲による張力と組み合わさることで、ゴムの分子結合(ポリマー鎖)を攻撃して切断する化学反応です。通常、タイヤ用ゴムには劣化を防ぐために「老化防止剤」が練り込まれており、走行することで内部から表面へ油分とともに染み出し、オゾンや紫外線からゴムを保護する自浄シールドを形成しています。

ところが、愛車を美しく見せようとする熱心なオーナーほど陥りやすい致命的な落とし穴が存在します。それが「油性タイヤワックスの多用」です。カー用品店で手軽に手に入り、深い黒艶が長持ちする油性ワックスには、石油系溶剤が含まれています。この溶剤が、タイヤ本来の自己防衛機能である老化防止剤や油分を強力に溶かし出して洗い流してしまうのです。

「毎週の洗車時に油性ワックスをたっぷりスプレーしていた車両が、わずか2年足らずでサイドウォール一面に網目状の亀裂を作って入庫してくるケースは珍しくない」と、ベテラン整備士たちは口を揃えます。艶出しを行う際は、石油系溶剤を含まない「水性エマルジョンタイプのタイヤワックス」を選択するか、汚れを水洗いで落とした後に軽く乾拭きする程度に留めるのが、ゴムの寿命を延ばす正攻法です。

井上 凛

井上 凛

シニアコンテンツプロデューサー

心身ともに健康で持続可能なライフスタイルをテーマに、最新のウェルネストレンドを発信中。