高騰続くクロムハーツの深層、相場激変と価格改定の裏側に迫る
このブランドが持つ独特の凄みは、その成り立ちにある。1988年、自身も熱心なバイク愛好家であったリチャード・スタークが、革製品の製作から事業を立ち上げた。そこに天才彫金師として名を馳せたレナード・カムホートらが合流したことで、レザーウェアのボタンやファスナーの引き手として作られた銀パーツが独立した美術品のような輝きを放ち始める。
彼らが採用したのは、銀の純度92.5%を誇るスターリングシルバー925だった。銅などを絶妙な比率で配合したこの合金は、日常使いに耐えうる強度を持つと同時に、使い込むほどに深い陰影と独特の黒ずみ(燻し)を生み出す。素材の特性を極限まで引き出し、ゴシック建築や中世の騎士道精神を落とし込んだ重厚な意匠は、それまでの華奢なジュエリーの概念を根底から覆した。
創業者リチャード・スタークが貫く「自分たちが本当に身に着けたいものしか作らない」という頑固な美学は、数十年を経た現在も製品の細部に息づいている。