嫌われる勇気を生んだ鬼才・柿内芳文の次世代コンテンツ生存戦略
関係者への取材から浮かび上がったのは、柿内が実践する「問いの純度」を極限まで高める制作手法だ。彼が企画を立ち上げる際、最初に着手するのは市場調査や競合分析ではない。著者自身が人生をかけて対峙している「割り切れない違和感」の採掘である。著者が無意識に蓋をしている感情や論理の矛盾を、容赦ない対話によって引きずり出す。
さらに、読者が作品と出会ってから読了し、他者に語りたくなるまでの心理動線を緻密にプログラミングする。プロモーションを後付けの宣伝行為として捉えるのではなく、制作段階から「どのフレーズが読者のアイデンティティを代弁するか」を計算し尽くす。コンテンツの供給過多に陥った現代において、読者の可処分時間を勝ち取るためのプロデュース術は、もはや心理学と構造設計の融合領域に達している。