ヴァンシュタイン城は実在するのか?噂の真相とドイツ名城の秘密
この名城の誕生を語る上で欠かせないのが、「メルヘン王」「狂王」の異名をとるバイエルン国王ルートヴィヒ2世の建築への執念です。政治的な争いや普仏戦争の重圧から逃れるように、彼は自らの理想郷を山奥の岩山に築くことに没頭しました。
王は作曲家リヒャルト・ワーグナーのオペラに深く傾倒し、城内の壁画には『ローエングリン』や『タンホイザー』などの中世英雄伝説を描かせました。軍事要塞としての機能は一切持たず、王一人だけの孤独な劇場として設計された点が、一般的なドイツ古城の見どころと大きく一線を画しています。
莫大な建築費によって国の財政を圧迫したルートヴィヒ2世は、1886年に精神病を理由に統治権を剥奪され、その直後にシュタルンベルク湖で謎の怪死を遂げました。主を失った城は、皮肉にも王の死のわずか数週間後から一般公開され、現代に至るまで世界最高峰の観光名所として人々を魅了し続けています。