『ムカデ人間』絶望の台詞「ごめんよ」秘話と北村昭博の怪演に迫る
本作を導いた監督トム・シックスの着想は、あまりにも奇抜だった。「ペドフィリア(小児性愛者)の処罰として、トラック運転手のアナルに顔を縫い付ければいい」というジョークから始まったこの企画。しかし、それを本格的な映画として形にした手腕は映画産業においても極めて異例だ。
そして、狂気のハイター博士を演じた名優ディーター・ザーザーの存在感を忘れてはならない。冷酷で几帳面、かつ冷徹なドイツ人医師を怪演したザーザーの立ち振る舞いは、スクリーンに冷ややかな緊張感をもたらした。
北村昭博のエモーショナルで熱量あふれる動の演技と、ディーター・ザーザーの凍りつくような静の狂気。この二つの強烈な個性がぶつかり合ったからこそ、シックス・エンターテインメントの低予算映画は世界的な社会現象へと化けたのだ。