枕草子「二月つごもりごろに」現代語訳&品詞分解!清少納言の機転と敬語を解説

枕草子「二月つごもりごろに」現代語訳&品詞分解!清少納言の機転と敬語を解説の全貌を分かりやすくまとめてご紹介します。

古典文学の名場面を深く理解するには、まず言葉の定義と現場で起きていた出来事の骨格を正確に捉える必要があります。段名の冒頭に置かれた二月晦日(にがつ つごもり / みそか)とは、陰暦2月の最終日(おおむね29日または30日)を指します。「つごもり」は「月隠(つきごもり)」が音変化した言葉であり、月の光が隠れる月末を表す古語です。陰暦の2月は春(初春・仲春・晩春)の真ん中「仲春」にあたりますが、実際には底冷えが残り、ときに激しい降雪を見た季節の境界点でした。

この日の天候は「風いたう吹きて、空いみじう黒きに、雪すこしうち散りたるほど」。激しい寒風が吹き荒れ、空全体が重苦しい暗雲に覆われ、雪が舞い散る鬱屈とした悪天候のなか、名門官人・藤原公任からの使者が突如として中宮・定子の御所(登花殿や職の御曹司)を訪れます。

この緊迫した贈答劇を整理するため、まずは登場人物の内幕相関図を把握しておきましょう。

  • 【主君】中宮定子:関白・藤原道隆の長女で一条天皇の后。才色兼備を誇り、当代随一の華やかなサロンを形成。清少納言の絶対的な主。
  • 【当事者・女房】清少納言:中宮定子に仕える才女。公任からの抜き打ちテストを投げかけられ、定子サロンの看板を背負って返歌に挑む。
  • 【仕掛け人】藤原公任:当時、参議・左兵衛督などを歴任した名門貴族(小野宮流)。漢詩・和歌・管弦の三舟の才を謳われた当代最高峰の文化人。
  • 【サロンの後援者】藤原伊周:定子の兄で若き内大臣。公任たち名門貴公子と宮廷の政治的・文化的覇権を争っていた中関白家のプリンス。
  • 【使者】主殿司(とのもづかさ):宮中の清掃や設営を受け持つ下級官人。公任の手紙を御所の黒戸(清涼殿北側の出入口)から女房へと手渡した媒介役。

寒波のなか届けられたのは、なんと「下の句(七・七)」だけが記された一枚の薄様でした。上の句を補って一首を完成させよという、公任からの公然たる知性への挑戦状でした。

石川 優花

石川 優花

インテリア&ライフスタイルコーディネーター

心身ともに健康で持続可能なライフスタイルをテーマに、最新のウェルネストレンドを発信中。