『すてきな三にんぐみ』結末と深いテーマ|半世紀愛される名作の真実
『すてきな三にんぐみ』が世代や国境を越えて子どもたちの心を掴んで離さない最大の理由は、「圧倒的な恐怖感」から「最高に温かい安心感」へとダイナミックに転換するストーリーテリングにあります。
物語の冒頭、登場するのは黒いマントと黒い帽子に身を包んだ恐ろしい3人の強盗です。彼らはそれぞれ「ラッパじゅう」「コショウふきつけき」「大きなまさかり」という奇妙な武器を手に夜の街道へ繰り出し、馬車を襲っては金品や宝石を容赦なく奪い取っていました。馬の目を眩ませ、車輪を砕き、旅人を脅かす彼らは、近隣住民から心底恐れられる存在でした。
ところがある晩、彼らが襲撃した馬車の中には、金目のものは何ひとつありませんでした。乗っていたのは、意地悪なおばさんの家へ引き取られる途中だった孤児のティファニーちゃんただひとり。ティファニーちゃんは恐ろしい強盗たちを見てもちっとも怖がらず、むしろおばさんの家に行かずに済むと喜んで、自分から強盗たちの隠れ家へとついていきます。
隠れ家の洞窟にうずたかく積まれた金銀財宝を目にしたティファニーちゃんは、無邪気にこう尋ねました。
「これ、どうするの?」
この素朴な一言が、強盗たちの人生を根底から覆します。それまで金品を「集めること」そのものが目的化していた彼らは、使い道など一度も考えたことがなかったのです。3人は顔を見合わせ、自分たちの富をどう使うべきか真剣に考え始めます。
ここから物語は一気に感動の結末へと向かいます。強盗たちは国中から身寄りのない子どもや捨て子、不幸な子どもたちを探し集め、立派なお城を買い取って子どもたち全員を住まわせました。子どもたちには自分たちと同じように赤いマントと帽子を与え、愛情を込めて育て上げたのです。
やがて成長した子どもたちは城の周りに家を建てて結婚し、ひとつの大きな村が生まれました。村人たちは自分たちを救い育ててくれた「すてきな三にん」に深い感謝を捧げ、強盗たちが亡くなった後、彼らを称えて3つの赤い屋根を持つ高い塔を建てたのでした。悪名高き泥棒が、子どもたちの「愛すべき父親たち」へと生まれ変わるこの鮮やかな着地こそ、本作が不朽の名作たる所以です。