蕎麦屋の板わさが劇的に旨い理由|12ミリの厚さと粋な食べ方の極意
「自宅のかまぼこと蕎麦屋の板わさは何が違うのか」。その疑問に対する最大の答えは、包丁を入れる「厚み」にあります。
神奈川県小田原市の老舗蒲鉾メーカー・鈴廣かまぼこの官能評価データおよび食品物性研究によると、かまぼこが最も美味しく感じられる厚さは「11mm〜12mm」と実証されています。これより薄いと魚肉タンパク質の網目構造がもたらす弾力(専門用語で「足」と呼ぶ)を感じにくく、逆に厚すぎると噛み切る際に余計な力が必要となり、滑らかな喉越しが損なわれてしまいます。
さらに重要なのが、板から外す際の包丁さばきです。板についたかまぼこを剥がす際、包丁の背(みね)を使って板に沿わせるように滑らせると、木の繊維を削ることなく、底面のプリッとした美しいテクスチャーを無傷で残すことができます。職人が施すこの一手間こそが、舌触りの劇的な差を生み出すのです。