パゾリーニ没後50年、未公開資料が暴く暗殺の真実と異端の系譜
1970年代前半、パゾリーニは『デカメロン』『カンタベリー物語』、そして『アラビアンナイト』からなる「生のエロス三部作」を手掛けた。人間の自由な肉体と生の快楽を賛美したこれらの作品は、エキゾチックな映像美と共に世界的な成功を収めた。
だが、急激に進む消費社会が人々の肉体や感性までも資本の道具へと変えつつあることに気づいた彼は、自ら「生の三部作」を撤回する。そして遺作となったのが、マルキ・ド・サドの原作をファシズム末期のイタリアに翻案した衝撃作『ソドムの市』であった。
権力による人間の肉体の完全な支配と破壊を描いたこの作品は、あまりの凄惨さから世界各国で上映禁止の処分を受けた。生の謳歌から絶望的な権力批判への苛烈な転換は、彼自身の死を予見するかのような悲痛な叫びでもあった。