古代日本の葬礼「殯(もがり)」の真実|遺体長期安置の目的と歴史
Q1:もがりの期間は具体的にどのくらい続いたのですか?
A1:被葬者の身分や政治情勢によって大きく異なります。一般豪族で数週間から数か月、古代の天皇では数か月から1年以上に及ぶ事例が確認されています。『日本書紀』の記録では、天武天皇が崩御した際には約2年2か月にわたって殯が行われました。
Q2:古代の一般庶民も殯(もがり)を行っていたのでしょうか?
A2:殯宮を建てて長期にわたり儀礼を執り行う形式的な殯は、財力と権力を持つ天皇家や有力豪族(支配階層)に限られていました。一般庶民の間では、風葬に近い形で遺体を一定期間野に安置し、白骨化した後に改葬する「複葬(ふくそう)」の習俗が一部で見られましたが、国家的な儀礼としての殯とは性格が異なります。
Q3:現代の日常生活や冠婚葬祭に「もがり」の名残は残っていますか?
A3:はい、明確に残っています。代表的なものが葬儀の前夜に行われる「通夜」です。また、喪中に身内が祝宴や神社参拝を控える「服喪(ふくも)」の期間設定や、四十九日法要をもって忌明けとする仏教的慣習にも、殯が持っていた「死のケガレを徐々に浄化し、日常へ戻る」という思想が色濃く反映されています。