はだしのゲン「非国民」迫害の真相|父の反戦思想と現代に問う同調圧力
『はだしのゲン』に登場する数々の過酷な描写は、フィクションではなく作者・中沢啓治氏の実体験が色濃く反映されたノンフィクションに近い物語です。中沢氏の父・晴海(はるみ)氏は日本画家・漆芸家であり、戦時中から公然と戦争に反対していたため、中沢家は広島の地元で実際に「非国民」としての激しい迫害に晒されていました。
作中における中岡家の家族構成と運命は、読者に強い衝撃を与え続けています。
- 父・大吉:反骨の画家。一家の大黒柱として筋を通し続ける。
- 母・君江:身重の体で家族を支え、差別に耐え忍ぶ。
- 長男・浩二:予科練(海軍飛行予科練習生)へ志願し、家名の汚名を雪ごうと葛藤する。
- 次男・昭:疎開先で農家の重労働と差別に耐える。
- 三男・ゲン(元):主人公。父の教えを胸に過酷な時代を生き抜く。
- 長女・英子:家の重圧に苦しみながらも弟たちの面倒を見る。
- 四男・進次:ゲンの相棒的存在である幼い弟。
- 次女・友子:被爆当日に誕生するが、栄養失調と原爆症で命を落とす。
1945年8月6日、原爆の投下によって中岡家は決定的な悲劇に見舞われます。倒壊した家屋の下敷きとなった父・大吉、姉・英子、弟・進次の3人は、猛火に包まれるなか、母・君江とゲンの目の前で生きたまま焼き殺されるという壮絶な結末を迎えました。非国民と罵られながらも必死に生き抜こうとした家族の命が、一瞬にして奪い去られた瞬間でした。