1個800円の行列はバブルか、食文化の再定義か――2026年、進化が止まらない「東京おにぎり最前線」を歩く
浅草や新宿、渋谷などのターミナル周辺の店舗では、客の半数以上を海外からの旅行者が占める日も珍しくない。SNSで拡散された「湯気立つ巨大なおにぎり」をカメラに収め、熱々の塊を頬張って歓声を上げる姿は、2026年の東京の日常風景になった。
だが、その行列の中に、近所に住む高齢者や出社前の会社員の姿が混ざっているのが面白い。観光地化されて価格が高騰した店を敬遠する声がある一方で、「多少並んででも、朝からきちんとした米を腹に入れたい」という根強い生活者の需要がある。
ファストフードチェーンの朝食セットと同等か、それ以上の金額を払ってでも手に入れたいのは、誰かの手で握られた温もりと、確かな満腹感なのだろう。グローバルな熱気とローカルな生活感が、たった一角のイートインカウンターで奇妙な調和を見せている。