『一円玉の旅がらす』歌手・晴山さおりの現在と名曲ヒットの真実

『一円玉の旅がらす』歌手・晴山さおりの現在と名曲ヒットの真実にまつわる興味深い視点を分かりやすく発信ます。

『一円玉の旅がらす』がNHK『みんなのうた』で初放送されたのは、1990年2月のことでした。三度笠をかぶり合羽を羽織った一円硬貨が、コロコロと転がりながら日本各地を巡るアニメーション(加藤晃が担当)は、放送直後から視聴者の目を奪いました。

この大ヒットの裏側には、緻密な時代背景と超一流のクリエイター陣の存在があります。前年の1989年4月、日本に初めて消費税(当時3%)が導入されました。買い物をするたびに1円単位の釣銭が発生し、人々の財布やレジスターが一円玉で溢れかえった時期です。社会全体が一円玉の存在を強く意識せざるを得なかったタイミングを捉え、企画されたのが本作でした。

制作陣の顔ぶれも驚くほど豪華です。作詞を手掛けたのは『時の過ぎゆくままに』『つぐない』などで知られる希代のヒットメーカー・荒木とよひさ。作曲は『天城越え』をはじめ数々の演歌の名曲を世に送り出した巨匠・弦哲也が担当しました。単なる子ども向け企画ソングの域を超え、日本人の琴線に触れる本格的な演歌・股旅ものの様式美を完璧に落とし込んだメロディが誕生したのです。

そして、この難度の高い楽曲を見事に歌いこなしたのが、当時堀越高校に通う17歳の新人歌手・晴山さおりでした。岩手県出身の彼女が持つ澄み渡る伸びやかな声と、力強いコブシ回しは瞬く間に全国へ響き渡り、シングル発売後は累計80万枚を超えるセールスを記録。同年の第32回日本レコード大賞で新人賞(歌謡曲・演歌部門)を受賞するなど、社会現象へと昇華していきました。

高橋 健太

高橋 健太

ライフスタイル編集者

Webメディアでの編集・執筆歴10年。読者の好奇心を刺激するストーリー作りを心がけています。