道後温泉は千と千尋の油屋モデルか?ジブリ公式見解と見どころ徹底解剖とは一体何なのか? 背景や要点を整理してお届けします。
映画『千と千尋の神隠し』の世界観を構成するにあたり、宮崎駿監督や美術スタッフ陣は日本各地の個性豊かな歴史的建築からインスピレーションを得ています。道後温泉本館のほかにも、群馬県四万温泉の「積善館」、長野県渋温泉の「歴史の宿 金具屋」、そして東京都の「ホテル雅叙園東京(旧・目黒雅叙園)」などが代表格として知られています。
それぞれの建築が油屋のどの部分に投影されているのか、客観的なデータと特徴を整理した比較表が以下となります。
施設名称・所在地建築年代・文化財指定油屋に反映された主な要素編集部の見解・鑑賞ポイント道後温泉本館
(愛媛県松山市)明治27年(1894年)起工
国指定重要文化財木造重層構造の外観全体、唐破風、頂部の塔屋(振鷺閣)油屋の堂々たるシルエットと複雑な階層美の直接的な原型。異界の象徴としての威厳が最も強い。積善館 本館
(群馬県中之条町)元禄4年(1691年)築
群馬県指定重要文化財宿へと続く赤い欄干の橋(慶雲橋)、トンネル状の通路千尋が息を止めて渡った赤い橋の情景と完全に合致。俗世と異界を隔てる境界線のモデル。歴史の宿 金具屋
(長野県山ノ内町)昭和11年(1936年)築(斉月楼)
国登録有形文化財木造4階建ての夜間ライトアップ、迷路のような内部構造夜間に照らし出される木造楼閣の艶やかさは劇中の宴の賑わいを想起させる。ホテル雅叙園東京
(東京都目黒区)昭和10年(1935年)築(百段階段)
東京都指定有形文化財絢爛豪華な格天井、螺鈿細工、湯婆婆の豪奢な執務室油屋の内部に見られる極彩色の壁画や贅を尽くした内装デザインのインスピレーション源。
このように、スタジオジブリは単一の建物を模写したのではなく、日本各地の伝統的な木造建築が持つエッセンスを抽出し、宮崎駿監督の卓越した空間構成力によって「油屋」という唯一無二の虚構空間を作り上げました。その中でも建物の骨格・佇まいの核となったのが道後温泉本館であることは、建築様式の比較からも明白です。