蛾と蝶の違いは存在しない?生物学の真相と決定的な見分け方を徹底解説
「昼間に飛んでいるのが蝶、夜に灯火へ飛んでくるのが蛾」という認識も、自然界の多様性を前にすると容易に覆されます。生態系の適応戦略により、昼行性を選んだ蛾や、夜間にのみ活発化する蝶が確かに存在します。
鮮やかで素早い「昼行性の蛾」たちの生態
昼間に活動する蛾の代表格が「オオスカシバ」です。羽に鱗粉がなく透明で、ウグイス色の毛に覆われた太い胴体を持ち、空中でホバリングしながら花の蜜を吸う姿は「蜂やハチドリと見間違えた」という報告が後を絶ちません。毒針は一切持たず、極めて無害な昆虫です。
また、翅を垂直に立てて止まり、オレンジ色の鮮やかな斑紋を持つ「イカリモンガ」や、メタリックブルーと深紅のグラデーションが息をのむほど美しい「サツマニシキ」(マダラガ科)は、その美しさから蝶と誤認される頻度が非常に高い昼行性の蛾です。
薄明かりや暗闇を好む「夜行性の蝶」の真相
一方、蝶の中にも日光を避けて活動する種が存在します。熱帯雨林に生息する「フクロウチョウ」や「コノマチョウ」の仲間は、日中は森林の薄暗い下層や落ち葉の影に潜み、夕暮れ時(薄明)や夜明け、あるいは完全な夜間に樹液を求めて活発に飛び回ります。
日本国内でも、住宅地で見かける「セセリチョウ科」の一部は早朝や夕暮れの薄暗い時間帯に猛スピードで飛び回る習性を持ちます。昼と夜という活動サイクルの違いは、天敵(コウモリや鳥類)との生存競争やエサの獲得競争の中で、種ごとに独自に適応進化した結果に過ぎません。