十角館実写化から最新動向まで!新本格の巨匠・綾辻行人の全貌に迫る
建築家・中村青司が遺した奇怪な建築群を舞台に繰り広げられる「館シリーズ」。これから足を踏み入れる読者が最も気にする「読むべき順番」の最適解は、やはり刊行順の制覇にある。各作品が独立したクローズドサークルとして機能しながらも、シリーズ全体を貫く巨大なメタ構造が徐々に姿を現すからだ。
まずは原点にして頂点の一角である『十角館の殺人』から幕を開け、からくり屋敷の狂気を描く『水車館の殺人』、密室殺人の技巧が光る『迷路館の殺人』へと駒を進めるのが王道のルートだ。さらに、人間心理の深淵を抉る『人形館の殺人』を経て、シリーズ最高峰の呼び声高い『時計館の殺人』へと至る流れは、読書体験として無上のカタルシスを約束する。後半の『黒猫館』『暗黒館』『びっくり館』『奇面館』へと至る変遷は、本格ミステリというジャンルそのものの進化の軌跡でもある。