Coco壱番屋の歴代社長と現在|宗次徳二の壮絶人生と葛原体制の真実
CoCo壱番屋を語る上で避けて通れないのが、創業者・宗次徳二氏の筆舌に尽くしがたい生い立ちです。1948年、石川県に生まれた宗次氏は自らの両親の顔を知りません。生後間もなく兵庫県尼崎市の孤児院に預けられ、3歳のときに養父母に引き取られました。
しかし、その養父は重度のギャンブル狂でした。競輪に給料をつぎ込み、家庭は常に極貧状態。宗次少年は電気や水道すら止められた長屋で、空腹に耐えかねて雑草やイナゴを口にし、道端に落ちているタバコの吸い殻を拾って養父のキセルに詰めるような極限の日々を過ごしたと自著やインタビューで赤裸々に告白しています。養父の暴力に怯えながら過ごした少年時代の過酷さは、一般的な「苦労話」の次元を遥かに超越しています。
高校卒業後、八百屋や大和ハウス工業などを経て不動産会社に勤務した宗次氏の運命を大きく変えたのが、後に共同創業者となる妻・直美(なおみ)氏との結婚でした。1974年、夫婦で名古屋市郊外に開業したわずか9坪の喫茶店「バッカス」がすべての原点です。直美氏が丹精込めて仕込んだカレーが常連客の間で爆発的な人気を博し、「ここが一番の店になるように」という祈りを込めて、1978年に「カレーハウスCoCo壱番屋」第1号店(愛知県西枇杷島町)をオープンさせました。
宗次氏を突き動かしたのは、自らの過去を恨む心ではなく、徹底的な他者への奉仕精神でした。「早朝清掃」「アンケートハガキの全件熟読」「現場ファースト」というココイチの基本骨格は、この過酷な原風景と夫婦の献身から生み出されたのです。