「生きろ、そなたは美しい」誕生秘話|糸井重里のボツ案とアシタカの真意

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映画の宣伝において極めて重要な役割を果たしたポスターのキャッチコピー「生きろ、そなたは美しい」。この誕生の背景には、コピーライターの糸井重里氏と、宮崎駿監督および鈴木敏夫プロデューサーとの間で交わされた過酷な言葉のせめぎ合いがありました。

『となりのトトロ』の「このへんな生きものは、まだ日本にいるのです。たぶん。」や『魔女の宅急便』の「おちこんだりもしたけれど、私はげんきです。」など、ジブリの代表作で数々の名コピーを生み出してきた糸井氏ですが、『もののけ姫』のコピー制作は過去最難関を極めました。

当時、FAXを通じて何度もやり取りされたボツ案には、以下のような生々しい変遷が残されています。

  • 「おそろしいか、愛しいか。」
  • 「ハッピーエンドは、いままであった。」
  • 「死ぬな。」
  • 「人は、いつか死ぬ。」
  • 「スキとキライのあいだに、何がある。」
  • 「お前は、人間だ。」
  • 「どう生きるか、お前は。」

宮崎監督が描こうとしていたのは、従来の勧善懲悪や単純な自然保護メッセージではなく、業を背負った人間と荒ぶる神々の血で血を洗う生存競争でした。鈴木プロデューサーは糸井氏から届くコピーに対して「これだと従来のジブリの枠に収まってしまう」「もっと剥き出しの人間を表現してほしい」と何度も再考を要請したと述懐しています。

最終的に糸井氏が宮崎監督の怒気すら孕んだ絵コンテのエネルギーを一身に浴びて絞り出したのが、「生きろ」という剥き出しの命令形と「そなたは美しい」の組み合わせでした。このコピーを見た瞬間、鈴木氏と宮崎監督は即座に採用を決断したとされています。

佐藤 大輔

佐藤 大輔

シニアコンテンツプロデューサー

最新のテクノロジーと生活デザインの融合をテーマに、国内外の最新トピックを発信しています。