智恵子抄の未公開草稿を発掘!狂気と愛の深層に迫る歴史的新事実
「智恵子は東京に空が無いといふ」で始まる名詩は、何故これほどまでに人々の心を捉えて離さないのか。そこには高村光太郎という不世出の彫刻家・詩人が絞り出した、言葉の彫刻とでも呼ぶべき密度の濃い造形が存在する。
光太郎は、智恵子の壊れゆく精神を凝視しながら、それを言葉によって永遠の美へと昇華させようとした。それは残酷なまでの「美化」であったのかもしれない。しかし同時に、崩壊していく愛する者の自我を繋ぎ止めようとする、極限の救済措置でもあった。光太郎が遺した推敲原稿の余白には、「言葉にならぬ叫び」が幾重にも消し込まれた跡が残されている。彼が紡いだ言葉の深層には、芸術家としての矜持と、一人の夫としての絶望が複雑に交錯しているのだ。