スマホを捨てて湯に入れ――東京下町「荒川 湯」が世界を惹きつける2026年の理由
給湯ボタン一つで湯が湧く現代において、ここは愚直なまでに薪にこだわる。地域で発生した建築廃材や剪定枝をくべ、じっくりと温められた湯は、肌に刺さるような角がない。体の芯まで染み入る独特のやわらかさがある。
「電気やガスとは熱の伝わり方がまるで違うんです」。番台で笑顔を見せる店主の言葉通り、湯船に足を沈めた瞬間に体中の強張りが解けていくのがわかる。温水プールのような無機質な熱さではない。生きもののような熱が、静かに体に浸透していくのだ。