他者を裁く快楽の罠:暴走する「正義中毒」の危険な真相と防衛術

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正義の暴走を考える上で避けて通れないのが、「自分は正しい場所にいる」というエリート意識や自己責任論の影だ。かつてNHKの白熱教室などで日本中を沸かせた哲学者マイケル・サンデル教授は、その著書の中で「能力主義(メリトクラシー)の暴走」に警鐘を鳴らした。

サンデル氏が指摘するのは、自らの努力や才能で成功を収めたと信じる人々が抱く「道徳的傲慢」だ。「自分は正当な努力をしてここにいる。だからルールを守れない者、落伍した者は自業自得であり、批判されて当然だ」という冷徹な論理が、他者への寛容さを根こそぎ奪っていく。

成功も失敗も、運や環境という偶然性に大きく左右される。その謙虚さを失ったとき、人は他人の過失に対して異常なほど不寛容になる。弱者を助けるべき対象ではなく、「自己責任を果たしていない怠惰な存在」として断罪する姿勢は、現代のネット炎上やバッシングの根底に流れる冷たい地下水脈と直結している。

佐藤 大輔

佐藤 大輔

シニアコンテンツプロデューサー

最新のテクノロジーと生活デザインの融合をテーマに、国内外の最新トピックを発信しています。