福島第一原発事故の死者数真相労災認定と避難関連死の全貌に迫る
高濃度の放射線に晒された人間が短期間で命を落とす「急性放射線障害」。JCOバケツ査証事故などで知られるこの症状が、福島第一原発の現場で発生したのかどうかは、長年世界中の専門家が議論してきたテーマである。
結論から言えば、現場で急性放射線障害によって死亡した作業員は皆無である。地震発生時、津波によって建屋地下で溺死した東京電力の社員2名を除き、事故当日に放射線そのものが原因で即死した人間は存在しない。中央制御室で暗闇と闘い続けた運転員たちや、決死の覚悟で注水作業にあたった自衛隊・消防の隊員たちも、急性期致死線量を超える過剰被ばくは回避していた。
だが、急性障害が出なかったからといって現場が安全だったわけではない。水素爆発の衝撃波、メルトダウンによる超高線量ガスの充満、鳴り響く警報音。命の危険と隣り合わせだった極限状態の中で、作業員たちは見えない恐怖と戦いながら、破滅的な破局事故(全炉心溶融)をすんでのところで食い止めていた。