やなせたかしイラストの真実|初期原画の感動秘話と無料利用のルール

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私たちが親しみ慣れたアニメ版のポップな姿とは対照的に、やなせたかしのアンパンマン初期原画は、どこか哀愁と孤独感を漂わせる独特のタッチで描かれていました。1969年に月刊誌『PHP』の連載「こどもの絵本」で発表された最初のアンパンマンは、マントを羽織った小太りの中年男性のような風貌で、戦場や飢餓に苦しむ子どもたちへ自らのアンパンを届けるという異色の物語でした。

「正義の味方は、カッコいいヒーローではなく、飢えて死にそうな人に食べ物を差し出す存在でなければならない」――この強烈な信念は、1973年に刊行されたキンダーおはなしえほん『あんぱんまん』の原画にも色濃く反映されています。当時の編集者や批評家からは「顔を食べさせるなんて残酷だ」と猛反発を受けましたが、やなせ氏は筆を曲げず、素朴で温もりのあるガッシュ(不透明水彩)の筆跡で命の尊さを描き切りました。

また、児童向け作品と並行して彼が情熱を注いだのが、『詩とメルヘン』の表紙イラストをはじめとする大人向けイラスト作品群です。1973年にサンリオから創刊された同誌で、やなせ氏は編集長を務めながら毎号の表紙を担当。淡く繊細なペン画とパステル調の水彩で描かれた憂いを帯びた少女や花々の佇まいは、絵本作家としての枠を超えた一流イラストレーターとしての孤高の美学を放っています。

小林 直樹

小林 直樹

トレンドリサーチャー

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